約400年前のコンテンツ拡散?子・孫まで絵を描いた画家一族。
約400年前のマーケティングなのか。
先日、豊田市美術館で開催されている「ブリューゲル展/画家一族150年の系譜」を観てきました。知らなかった画家一族の一致団結ぶりと、「これは、コンテンツマーケティングなのでは…」と思えるような拡散力に驚きました。
ブリューゲル展/画家一族150年の系譜
こちらの企画展は2018年4月24日(火)~7月16日(月・祝)まで、豊田市美術館で開催されています。宣伝ビジュアルに入っていたコピー「画家一族(ブリューゲル)がやってきた」を見て、「え、ブリューゲルってひとりじゃないの?」と気になったからです。してやられたかもしれません。
父親の背中を見て育った画家の息子たち。
ブリューゲル、と聞いて思い浮かべるのは個人的にはピーテル・ブリューゲル1世の『雪中の狩人』で、農村をテーマにした人というイメージでした。それはかなり部分的な認識だったようで、実際には扱うテーマやモチーフが時期によって違っていたようです。大航海時代あたりには航海をテーマに描いたり、宗教画がおそらく主流だったあたりにやや風刺画のようなものを描いたり。このあたりは企画展で実際にご覧ください。
さて、ピーテル・ブリューゲル1世が後世まで知られるようになったのは、息子たちの影響という説があるようです。それが、この企画展のキモです。
彼には3人の子供がいて、うち2人の息子であるピーテル・ブリューゲル2世とヤン・ブリューゲル1世は画家でした。この2人がそれぞれ父の作品の模写を量産したり、あるいは同じテーマで描いたりしたことで、魅力が次世代へも伝わったのではないかと考えられているようです。もっといえば、孫世代にも画家がいて、同じモチーフを扱ったり・・・長くなるので詳しくはやはり企画展を観てほしいのですが、子・孫世代にも画家がいたこと、何らかの影響を受けた作品を残したことで、ピーテル・ブリューゲル1世を起点としたブリューゲル一族の作品群に幅広い世代の人々が魅了されている、という感じでしょう。
コンテンツ・マーケティング事例として見てみる。
ちょっと話が飛びますが、この2、3年、マーケティング用語で「コンテンツ・マーケティング」という言葉が出てきました。読み物、イラスト、写真などコンテンツをつくることで宣伝していく手法です。ただし、コンテンツを作るだけではなく、拡散して知ってもらう事がまず大事になります。
その点、ブリューゲル一族は、偉大なる画家ピーテル・ブリューゲル1世を敬い、彼が残したコンテンツを知ってもらう活動をしていた、とも考えられるのではないでしょうか。目的は、そのためだけではなかったでしょうけども。「真似されたら本物」という考えを、逆手に取ったような感じもします。「これだけ後世でも似た作品があるのだからきっといいに違いない!」子・孫世代の作品を観て、そう思った人も中にはいたかもしれません。
切り口のユニークさが表れたタイトルは重要
小説家・カルチャーライター・キュレーターとしても活躍する原田マハさんの、『楽園のカンヴァス』という小説があります。美術館の企画展が実現されるまでの舞台裏が書かれており、話の中で「企画展のタイトルは重要である」という内容が出てくるのですが、本当にそのとおりです!
企画展のタイトル「ブリューゲル展/画家一族150年の系譜」に“一族、150年”というキーワードがあることで、一般の方も興味を引かれるのではないでしょうか。
何かのイベント、WEBサイト、冊子などの企画を考える・作る際は、ぜひタイトルにもこだわってみてはいかがでしょうか。
豊田市美術館の基本情報
住所:〒471-0034 愛知県豊田市小坂本町8丁目5番地1
TEL:0565-34-6610
URL:https://www.museum.toyota.aichi.jp/